ほたるのうんめい

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確かに番は、オメガの方にかなり不利な状態だ。 一度番になってしまったら、アルファが死なない限り解消できないし、他のアルファと番になれない。だけど、オレたちは結婚したのだ。一生を共にする伴侶になったのだから、番になっても別れることは無い。 だけど今まで何一つ拒まず、にこにこ受け入れていたその相手はここに来て頑としてその意志を曲げず、結局発情期の間寝室に鍵をかけて籠ってしまったのだ。 オレが仕事に行っている間に荷物を寝室から出されていたので、物に困らなかったけど、ドアで隔てられているとはいえ同じ家の中、漏れてくる発情期のオメガのフェロモンに全く反応しないわけが無い。 オレは極力家に帰らないようにしながら、それでも寝に帰っては一人その匂いにあてられて自分で処理をする日々を過ごした。 その時の虚しさと惨めさと言ったら・・・。 何やってんだ、オレ・・・。 そんな惨めな日々が過ぎ、ようやく発情期が明けて出て来た相手にオレは怒らなかった。怒ったところで仕方がない。とにかく話し合おうと、二人で話し、オレは絶対に別れないから大丈夫、と何度も言い聞かせたにもかかわらず、次の発情期も締め出されてしまった。 さすがに無理だった。 オレたちはそのまま別れることにした。それでも相手が少しでも拒んだら・・・と思ったのだけど、その時も笑顔で応じられてしまったのだ。 結局、相手の本心が何一つ見えないまま、オレの短い結婚生活は幕を下ろした。 離婚して最初にしたことは、あの子への離婚報告だ。 オレは結婚した時、あの子の発情期の相手をやめていた。さすがに結婚したからにはパートナー以外を抱くのは宜しくない。いくらそこにそう言う愛がなかったとしてもだ。という事で結婚したからもう相手はできない旨を伝えていたのだけど、やっぱり心配ではあった。 オレの結婚生活の間、一回は発情期が来ていたはずだ。それをどう過ごしたかも気になっていたので、離婚した事だけ伝えた。 オレがいなくてもいい発情期を過ごせたなら、すぐに連絡は来ないだろう。そう思っていたら思いの外早く返事が来た。 『次の発情期お願いしてもいい?』 その早さに驚きながら、もしかして危険な目にあったのかと心配になったのだが、単に好みのエッチをしてくれなかったかららしい。 それを聞いて安心したものの、実はあの子の様子がおかしいことには気づいていた。 発情期が来たと言うメッセージにすぐ駆けつけると、あの子の目は腫れていた。泣いていたのだ。さらに抱いて分かった。心が凍えて冷え切っていることに。 だからオレはことさら優しく、けれどあの子の欲しがるまま激しく抱いた。
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