ほたるのうんめい

そして発情の波の合間のピロートークで何気なく事情を聞いてあげると、あの子は長年拗らせた片思いをやめるのだという。なにがあったのか、あの子いわく『もう見込みがないから』だそうだ。なのに、ずっと鳴り響くあの子のスマホに、本当に見込みがないのかと疑問に思った。

そこでオレはお節介を焼くことにした。

かわいいこの子が泣くのは気に入らない。出来ればこの子の天真爛漫な笑顔が見たい。

そこで仕掛けた荒療治。そのお陰で見事、あの子の長年の片想いは叶うことになったのだ。

しかし、本当に荒療治もいいところで、オレとやってるところを生で見せたのだ。しかも最後まで。そうとは知らないあの子はかわいそうなくらいパニクって泣きそうだったけど、そのお陰で思いが叶ったのだから許してくれるだろう。

今頃残りの発情期を二人で過ごしているはずだ。

ということで、オレはこれからどうしよう。

めでたくあの子の発情期のお相手は円満にその役目を終えたけれど、相変わらずオレは独り身。まだ結婚願望は残っている。それにそろそろ本当に親がうるさい。その前も結婚しろと何度も言われていたが、やっと結婚したと思ったらすぐに離婚。親としては気が気ではないはずだ。

なのでオレは、再び婚活サイトに登録することにしたのだけど、前のところは成婚と共に退会していたので別のところだ。出来ればオメガ希望なので、今度はアルファとオメガ専用のサイトにした。そこでプロフィールには正直にバツイチであることを載せた。

前のサイトはベータも入れるところだったので、アルファの登録者はそれほど多くなく、アルファと言うだけで申し込みがひっきりなしにあったけれど、今度のところはアルファとオメガ専用。アルファの登録者数も多いため、オレのようにバツイチ40男(今年で42才だ)はそれほど人気がない。なので頻繁に通知は来ないけれど、それでもスマホが鳴る度にとりあえず相手のプロフィールを見ることにしている。

このサイトは自分で会員のプロフィールを探すこともできるけど、条件を登録しておくとそれにあった人をお知らせしてくれる機能がある。それを見ていいなと思った人のハートマークを押すと自分のプロフィールが相手に送られ、相手もハートマークを押してくれたら初めてそのサイトを通して連絡が取れるようになるのだ。

オレは条件にオメガとだけ登録したので、サイト側からのおすすめはたくさん来てしまう。なのでそれは見ずに向こうが気に入ってくれた人のプロフィールだけを見ることにしている。

多くはないにしろこれでも日に2、3件は来るので、それを夜家で見るのを日課にしている。