46人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、このままお酒飲ませて」
友翔からよくわからないリクエストが飛んでくる。
「絶対こぼすから座ろうか」
友翔の意図が読めずに、八捕は諭した。
「じゃあ、ストローで飲ませて」
「悪酔いするからダメ」
八捕は友翔の思惑に気づいて笑った。そんなに膝枕をやめたくないということだろうか。
「我慢しなくていいって言った」
友翔は子どもみたいに拗ねている。膝枕を一回限りだと思っている友翔が可愛くて、八捕はニヤニヤが止まらなくなった。
「飲んだらまたしていいよ」
八捕が震える声をかけると、友翔は無言で起き上がった。八捕を背もたれにして膝に座ってくる。
パイナップルサワーを膝の上の友翔に飲ませてあげる。飲ませるのはなかなか難しい。でも八捕と友翔の連携プレーで、友翔はこぼさずにサワーを飲んだ。
「八捕さんのビールもちょうだい」
友翔がビールを飲みたがるなんて珍しい。八捕はビールも友翔に飲ませてあげた。
「へへ。間接キス」
とろんと溶けはじめた眦をふにゃりとさせて言う友翔が可愛くて、八捕は友翔の唇に後ろからキスをした。唇の接触だけでは我慢できずに唇を割って友翔の口内を舐め回すと、八捕のビールと、友翔のパイナップルサワーが混ざり合った味がした。パイナップルの甘い酸味が、友翔を感じさせてたまらない。
「ん、ふっんん、あ、」
キスだけで、友翔はすっかりとろけた声を聞かせてくれる。
「間接キスもいいけど、大人のキスも好きでしょ? 」
八捕がちょっといじわるに笑うと、友翔の顔はりんごのように真っ赤になった。
友翔の濡れていないスウェットの上を、八捕は手際よく脱がせた。可愛い友翔を、早く堪能したい。
「お母さんがね、『友翔もとっても素敵な人を好きになったね』って言ってくれたの」
首筋にキスを落としていた八捕に、友翔は言った。
「お母さんにも、八捕さんが素敵な人だってことわかるんだなって、嬉しかった」
キスをしていた八捕に構わずに、友翔は八捕に抱きついてきた。口のすぐ先に現れた友翔の薄い耳にひとまずキスを落として、八捕は囁いた。
「俺を素敵な人にさせたのは友翔だからね」
恋愛を知らなかった自分に教えてくれた友翔を抱き返して、八捕はずっと大切にされてきた友翔のことを考えた。
耳を染めて喜んでいる友翔に何度もキスをして、八捕は今日もしっかりゴムをして愛情を吐き出した。
最初のコメントを投稿しよう!