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「千堂さんは、やっぱりなんというか、ハイスペックすぎて無理というか」
まさか望月君の誘惑に負けたなんて言えるわけもなく、私は言葉を濁した。
「え? でも最近の様子は男でしょ? そそくさと帰るし、料理サイト見てるのも知ってるんだから」
そこまでバレていたことに驚いてしまうも、私は小さく息を吐いた。
「同じ病院の人だから言いづらくて」
私のセリフに恭子が真顔になった。
「同じ病院の人?」
「うん」
私の肯定に恭子は真っすぐに私を見た後、柔らかな笑顔を浮かべた。
「そっか。でもよかったよ。それはすなわちあの傷が癒えたってことだ」
目の間に運ばれてきたシーザーサラダを口に入れながら言う恭子のセリフに、自分でも驚くほど過去のことがどうでもいいことに気づく。
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