第1話

3/28
前へ
/143ページ
次へ
「仕事しましょう」 そんな彼をスタッフステーションから見ていた私は小さく息を吐くと、処置室へと向かい備品の確認を始めた。 櫻町柚葉、三十歳。この病院の看護師をしている。 半年前ぐらいまでは病棟勤務だったが、それ以降は外来勤務をしている。 切れ長の二重に、高めの鼻、さらには感情表現も上手くない事から冷たくみられることも多く、小児科に向いていないかと思われているが、意外にも子供には好かれる方だ。 背中までのブラウンの髪はいつも一つにまとめている。 そして、隣で同じく冷めた表情で、望月先生を見ていた榎本恭子。もう残りすくなくなった同期で友人だ。何人が寿退社していったかわからない。 恭子はショートカットの姉御肌の美人で、例えるならば猫のようなすらっとした美人だ。 しかし、実は3次元には興味もなく、BLをこよなく愛している。 いつもこの病院の二大アイドルである、この望月先生と、外科医の早乙女先生を見ては妄想しているのだ。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1618人が本棚に入れています
本棚に追加