4 縁談成立となりました

13/20
2835人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ
「そっか……」 母から、久瀬さんの反応を聞いて安堵する。 私が縁談を引き受けた時も喜んでくれたそう だから、あれこれ心配していたわけじゃない けれど、久瀬さんはお孫さんのご家族だし、 こうして好意的に受け取ってもらえたことは 嬉しくありがたく思う。 同時に、今回のお見合いも一つのご縁だった のだと。 お見合いに至るきっかけこそ特殊だけれど、 大切なお孫さんと私を出会わせてくれた久瀬 さんに、あらためて心の中で感謝を深める。 「久瀬さんから美音に伝言も預かったわよ。 『蒼真を美音ちゃんの将来の相手に選んでく れて本当にありがとう。 孫のことをどうぞよろしく頼みます』って。 心から、二人のことを歓迎してくださってる 様子が伝わってきたわ」 「そんな……、お礼を言うのはこちらなのに」 「ええ。 感謝の言葉を何度口にしても足りないくらい お世話になったものね。 ただ久瀬さんご自身は『もう過ぎたことです から』という感じでね。 私達にもこんな言葉をかけてくださったの。 『美音さんを久瀬家に迎え入れられること、 とても嬉しく思います。 二人を温かく応援してくださり感謝します。 今後は、共に若き二人を見守る家族として、 もちろん卯月堂の客としてもよろしくお願い します』って電話口でお父さんにおっしゃっ たのよ。 ……感動しちゃったわ」 久瀬さんとの電話ではお父さんも話していた らしい。 しみじみとそう話す母を通して聞く言葉は、 穏やかで優しい久瀬さんの性格そのもので、 ジンと、胸を打たれる。 「そんな温かい言葉をかけてもらってありが たいね。 律儀な久瀬さんらしい」 「ええ。 そうね」
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!