22. もうすぐ春ですね

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 期末テストも終わり、今は短縮授業だから学校は午前中だけ。  だから実際は昼休みはないんだけど、帰りに絶対先生んとこ寄るようにしてた。  最近はいつもそこにいてくれた先生だったけど、この時期は入試も控えてるから忙しそうで、けっこう不在だったりするんだよな……。  あ、でも今日はいるや。  脚を投げ出すみたいに開いて、応接セットの椅子の背もたれに頭を乗せ、天井を仰いで座っていた。  片腕をひじ掛けから下にだらんと垂らし、もう片方の腕は額の上に置いて手の甲で目許を覆うようにしている。  気配で俺が準備室に入って来たことに気が付いたのか、その体勢そのままに声を掛けられた。 「今日すげえ疲れてるから、お前と遊んでやれねえぞ」 (何それ、俺は幼稚園児か)  近くに寄っていくと、目許に置いた腕をポフッともう一方のひじ掛けの上に落とし、少し頭を上げてこっちを向いた。  ホントだ。今日先生の顔、疲れてる。 「大丈夫? 先生。なに、もしかしてこの学校ブラックなの?」  そう漏らした俺にプッと吹き出すように笑った。 「教師の職場なんて、たいていどこもブラックだ」  笑いながら、冗談か本当か分からないような発言をする。  でも実際けっこうお疲れぎみな感じだったから、俺は向かいの椅子にカバンを置いて、そこから財布を取り出すと、 「いつものコーヒー買ってくる」  先生の返事を待たずに、食堂横の自販機までダッシュした。
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