第2話 初めの城下町

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第2話 初めの城下町

俺 「む、 むぅぅ。 」 一体どれほどの時間、 気を失っていたのだろうか。 俺は重たい眼をゆっくりと開ける。 辺りを見渡して見ると、 どうやら先程の遺跡のような場所へ戻ってきたらしい。 そしてどこからとも無く声が聞こえる。 ムルメス 「才花様、 どうか無理はなさらず。 あなたの旅の無事を祈っております。 巻き込んでしまいすみません。 どうか、 ……うか、 ご……じで……また……会い……。 」 そこで声は聞こえなくなってしまった。 俺 「ムルメス様! 聞こえなくなってしまったか。 こんな俺に何ができるか分かりませんが、 頑張って見ます。 」 俺はしばらく剣塚を眺めていた。 しばらく眺めていると、 剣塚の前に何やら置かれてるのに気づいた。 俺は重い腰はあげゆっくりと剣塚に近づいて行った。 俺 「これはカード? 」 そこには免許証程の大きさのカードが置かれていた。 俺はそれを手に取った。 俺 「これは俺の名前? それにここに書かれてるのは……ステータスかな? 」 そこには俺の名前が記されていた。 そして下の方には自分のレベル、 ステータスが書かれている。 俺 「まるでゲームだな。 なになに、 レベルは……1……。 HP300、 MP100か。 バリバリ初期ステだなこりゃ。 ん待てよMP!? てことは魔法とか使えるのか!? 」 正味な話、 俺は転生する前かなりこう言った展開に憧れを持っていた。 自分もアニメやゲームのような世界に行けたらなと。 何度も思ったことだ。 社会のゴミ同然の自分が輝ける、 そんな世界に行けたらなと。 しかし、 これは…… 俺 「ステータスは………どれも10……か。 これも高いとは言えないか。 ムルメス様の言ってた通りだが、 これは勇者と言うよりは駆け出し冒険者にも劣るぞ……。 」 現実はやはり甘くなかった。 俺 「ん? なんかステータスポイントと、 スキルポイントてのが1ずつあるな。 これもゲームみたいだ。 とりあえずステータスはアジリティに振るか。 スキルポイントはと…………てまだスキルも何も覚えれないじゃないか。 これは後でか……。 」 とりあえず俺は、 カードをポケットに入れていたカードケースにしまった。 俺はもう一度、 剣塚を静かに眺めてから遺跡を後にした。 タルホン 「おぉ! お戻りになられましたか! ささっ! 国王様がお待ちです! 参りましょう! 」 俺達は国王の居る玉座へ、 早々に戻ることにした。 玉座では国王が、 待ちわびていたのか、 俺達を確認すると立ち上がり 国王 「おぉ! 戻ったか! 待ちわびていたぞ! さて首尾はどうであった? ステータスカードを見せてくれ! 」 ステータスカード? あぁあれか。 俺はポケットにしまってあったカードケースから、 剣塚で拾ったカードを取りだし、 国王に手渡した。 国王 「ふむふむ、…………。 な、 なんじゃこりゃ! なんと言う事じゃ一体何が。 」 国王がカードを凝視して奇怪な声を上げる。 それに応えるかのように、 周りの者らもざわめき出した。 まぁ当然そうなるよなぁ。 気まずいな。 魔物達に対抗するために勇者を召喚したのに、 よりによってその勇者がレベル1の雑魚だもんな。 召喚するのも簡単な事じゃないだろうし。 俺はバツが悪そうに地面を眺めていた。 国王 「す、 すまない。 ワシとしたことが取り乱してししまった。 そう言えばワシの爺様から聞いたことを思い出した。 それは前回起きたカオスホードの事じゃ。 その時のカオスホードでは異例な事態が起きたらしいのじゃ。 それは各国が勇者の召喚に失敗したという。 そして唯一、 我が国サンバルト国だけが勇者の召喚に成功したと。 」 なるほど勇者は、 それぞの国が召喚するものなのか。 そしてきっとそれぞれの国が協力をして、 カオスホードを乗り切る。 きっとそう言う手筈なのだろう。 国王 「このままでは人類存亡の危機、 そう感じ取られた女神ムルメス様は、 その時の勇者に持てるだけの力を与えたという。 その時にムルメス様は自身の力の殆どを失ってしまったと…… 。 サイカ、 お主のステータスが低いのはその影響なのかもしれんな。 」 俺 「そう言えば、 ムルメス様も似たようなことを言っていたような………。 」 俺がそう言うと、 周りのものが一斉にざわめき出した。 国王 「なななななな、 なんじゃと! 女神ムルメス様とお会いしたのか!? そんな事があるのか!? 」 神官達 「なんと羨ましい! 」 俺 「会ったと言いましても、 殆ど姿は見えませんでしたよ。 少し話したくらいで……。 」 国王 「それだけでも凄いことじゃよ! 伝承にも殆どそんな出来事は記載されておらん。 もしや初めてのことやもしれん。 女神様が直々に祝福を下さったんじゃ。 お主には何か特別な何かがあるのやもしれんな。 」 国王 「しかしサイカ、 お主には苦労をかけることになってしまうな。 我々も出来るだけのことはしよう。 すまないな。 」 そう言うと国王は深々と頭を下げた。 なんて器の大きい国王なのだろうか。 こんな丁寧な王族の人もいるものなのだな、 と俺は感心してしまった。 俺 「あ、 いえ、 こちらこそご期待に添えれず申し訳ないです。 自分に出来ることを頑張ってやってみます。 」 俺も深々と頭を下げた。 国王 「うむ、 期待しているぞ。 勇者よ。 大臣あれを。 」 大臣 「ははぁ! それでは勇者様こちらを。 」 大臣はそう言うと少し大きな袋を手渡した。 その袋はずしりと重みがあった。 国王 「それには金貨5000枚入っておる。 それだけあれば最低限の装備は揃うであろう。 」 俺 「こんなに良いんですか! ありがとうございます。 有難く使わせて頂きます。 」 俺は再び深々と頭を下げる。 国王 「うむ、 お主の旅路に女神ムルメス様の加護があらんことを! 」 俺は国王や世話になった神官に挨拶を済ませ、 とりあえず城下町を散策することにした。 ここに来て初めての外だ。 俺は田舎者が都会に来たみたいに、 周りを見渡した。 どうやらよくある転生物のように、 中世ヨーロッパのような街並みだ。 そこに住む人もそれに近いようだ。 ただ変わってるのは人間族以外の種族もいるようだ。 所謂、 亜人とかに分類される種族もだろうか。 俺 「不思議な事にこの国の言葉は理解出来るみたいだな。 有難い、 英語とか覚えるの苦手だったからな。 さて先ずは、 物価を調べるべきか。 」 俺は先ずは宿屋を目指した。 この国の宿屋は1泊金貨100枚前後らしい。 もちろん3食付きのようだ。 これでご飯の心配は減るか。 次にレストランの様な店が並ぶ通りを通ってみた。 外看板を見る限り、 金貨10枚程で1人分の食事が取れそうだ。 何となく物価が掴めてきた。 俺 「後はどうやってお金を稼ぐか、 か。 」 俺が悩んでると、 突然お腹の音が鳴った。 そう言えばここに来てからまだ何も口にしてないな。 今はお昼頃かな? とりあえず何か食べるか。 俺はとりあえず目に付いた店に入った。 俺は席につきメニューらしき物に目を通す。 何が書いてるかは分かるが、 どんな料理かあまり想像がつかないものばかりだ。 俺 「む、 むぅぅ。 どれも聞いたことない名前だな。 写真付きなら助かるのだけども……すみません。 」 店員 「はぁい。 今行きます。 」 俺 「えっと、 このムルムルのソテーと、 あと、 パーロン茶? てのください。 」 店員 「ヴぇ、? 本当に宜しいのですか? 」 え? そんな事初めて聞かれたぞ。 そんなやばいものなのか? 俺 「え、 まぁそれでお願いします。 」 なんか選び直すのも面倒臭いのでそのままお願いした。 店員 「か、 かしこまりました。 すぐお持ちします。 」 俺の注文を聞いていたのか、 周りの客が俺を見ながらコソコソ話している。 全くなんなんだ。 なんか気まずいなぁ。 少しして注文の物が運ばれてきた。 なん、 だこれは。 頼んだドリンクは普通なのだが、 メインだ。 何だこの形容しづらい料理は。 なんかよく分からん物の姿焼きが、 お皿にこれでもかと置かれていた。 なるほどだからああいう反応されたのか。 俺 「い、いやまぁこういうゲテモノって美味しいて相場が…………。 これは失敗したかな? 」 俺はしばらくその姿焼きと睨み合っていたが、 空腹は待ってくれない。 俺は意をけした。 俺 「ええぃ! ママよ! いただきます! 」 俺は勢いよくそれにかぶりつく。 なん、 だこれは。 味がしない? 食感は鳥のそれに近いのだが、 味がしない? 俺は嗅覚は死んでるが、 味覚は悪くないはず。 俺 「ま、 まぁ不味いよりはマシかな? 」 俺はその姿焼きを早く視界から消したかったので、 とにかく一心不乱にかぶりつく? 俺は元々早食いだったので、 ものの数分でそれを平らげた。 とりあえず口直し、 する訳でもないがパーロン茶とやらを飲んだ。 これは烏龍茶に近い味だ。 終始周りの客は俺をチラチラ見ていた。 俺は落ち着けなさそうだったので、 早々に会計を済まし外へとそそくさと退散した。 俺 「さて腹ごしらえもしたし、 とりあえず武具を買いに行くか。 」 俺は武具屋をいくつか回ったがどこもパッとしなかった。 どこで買おうか悩みながら歩いてたところ、 路地裏にパッとしない武具屋があるのが目に付いた。 俺 「あんなとこにも店あるのか、まだ行ってなかった。 とりあえず行ってみるか。 」 俺は少々怪しげな路地裏に入り、 武具屋に入ることにした。
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