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出産予定日は、産婦人科医から12月20日頃と聞かされていて、希咲は出産準備をしていた。
出産予定日が近づいた12月中旬頃のある日の朝、会社に勤めていた僕のスマートフォンに希咲から電話が入った。
「今日体調が悪くて産婦人科医院に行ったんだけど、市立病院に行って検査を受けるように言われたの…」
僕は心配になって、
「明日、会社を休んで、僕が市立病院に連れて行こうか?」
と言うと希咲が、
「そうしてもらえると助かる…」
と少し不安そうな口調で返事があった。
翌日朝、軽く朝食をとって僕が希咲を市立病院に連れて行って検査を受けると、結果はあまりよくない診断だった。
希咲は子宮がんであると診断されたのだ。
すでに今月出産を控えている希咲は、堕胎して子宮がんの摘出手術を受ければ、希咲の命を助けることができると医師から言われた。
これは今お腹の中にいる赤ちゃんは助からないということを意味している。
このことを希咲と相談すると希咲は絶対に赤ちゃんを産むと言って、僕の言うことを聞こうとしなかった。
希咲はさっそく入院することになり希咲と僕は病院で昼食を取って、入院の準備をするために一旦自宅に帰った。
自宅で希咲と僕は一緒に入院の準備をして病院に戻り、僕はできるだけ希咲と病室で一緒の時間を過ごしてから自宅に帰った。
出産予定日の12月20日を過ぎた12月24日のクリスマスイブの日、会社に勤めていた僕のスマートフォンに病院の看護師から電話が入った。
「奥様が意識のない状態です。
至急、病院に来ていただけますか?」
この電話を受けた僕は、上司に事情を話して会社を早退して病院に直行した。
病院に到着すると希咲は集中治療室に運び込まれていて、治療を受けているようだった。
僕は集中治療室前の廊下の長椅子に座って待っていると、集中治療室から医師が出てきて僕に話しかけてきた。
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