迎えに来た妻

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「ご家族の方ですか?」 僕が、 「はい、僕は夫です。」 と答えると医師が、 「奥様は子宮がんが進行して、今とても危険な状態です。  残念ながら奥さんと赤ちゃんの両方の命を助けるのは、難しと判断しています。」 と話してくれた。 「どうすればいいのですか?」 僕が医師に率直に質問すると、 「赤ちゃんを堕胎して奥様の手術をすれば、奥様の命を助けることができるかもしれません。  ですが、今とても危険な状態ですので、命が助かる可能性は低いです。」 と医師から答えが返ってきた。 「他に妻と赤ちゃんを助ける方法はないのですか?」 さらに僕が医師を問い詰めると、 「すでに陣痛があるようですから陣痛促進剤を投与して、まず赤ちゃんを産んでからすぐに奥様の手術をするという方法があります。  場合によっては、帝王切開することも考えます。  しかしこの方法は、奥様の命がより危険な状態になります。」 と医師から答えが返ってきた。 「時間がないので、今決断する必要があります。」 医師から決断を迫られた僕は、 「まず赤ちゃんを産んでください。」 と、とっさに答えた。
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