迎えに来た妻

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僕はどこに行ったらいいのかわからず、病室の中を漂っていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「星輝」 僕が声のする方向に振り向くと、そこには希咲がいた。 「星輝、迎えに来たよ!」 希咲は27歳の姿のままで、僕に手を差し伸べてきた。 僕が希咲の手を取ると希咲が優しく、 「さぁ、行きましょう!」 と僕の手を引いて案内してくれるようだった。 僕はどこに行くのだろうかと思ったけれど、きっと天国に行くのだろうと思って、あえて希咲に質問するのはやめることにした。 「希咲、赤ちゃんを出産する道を選んだことで、希咲の命を助けることができなかった!  僕の選んだ道は間違っていたのかもしれない…  本当にごめんなさい!」 僕が素直に謝ると希咲が、 「星輝の選択は、間違ってないよ!  私はどうしても星輝との間に授かった赤ちゃんを産みたかった…  そして無事愛華が産まれて素敵な家庭を作ってくれた。  私は本当に良かったと思っているよ!」 と優しく言葉をかけてくれた。 そしてさらに希咲は、 「星輝、長い間お疲れさまでした。  私の分も愛華に愛情を注いで、大切に育ててくれてありがとう!」 と僕にお礼の言葉をかけてくれた。 ふと気が付くと僕の体は病院の外に出て、街の夜景が美しく見える夜空を舞っていた。 夜の街には希咲が亡くなった日と同じように、クリスマスイブを彩るかのように雪が舞い始めていた。
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