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2. 招かざる少女 -3-
あけぼの高校に授業終了のチャイムが鳴った。
麻里江もほかの生徒に合わせて帰り支度をする。
特に寄るところもなく、用意されたマンションに向って歩く麻里江の肌に、人の気配が触れた。
だれかが後をつけてくる。
(さっそく仕掛けてきたってわけね。)
麻里江はほくそ笑みながら、わざと人気のない道をたどった。
表通りからはずれた裏道。
襲うには格好の場所であった。
麻里江は急に足を止めた。
それにあわせるように三人の男が現れた。
前に一人、後ろに二人。
チンピラ風の男たちだ。
「あなたたちは誰なの?」
麻里江はか弱そうな演技を見せた。
「ねえちゃん、俺たちと一緒に来な。」
十分、ドスの効いた言葉だ。
「どこへ連れて行く気?」
あくまでもか弱い少女を装う。
「いいところさ。」
いやらしい笑いを浮かべて男たちが、前後から近づいてきた。
後ろの一人が麻里江の肩に手をかけた。
「うわ!」
麻里江の肩に手をかけた男が、突然宙を舞うと、背中から地面に落ちた。
残りの二人はあっけにとられた。
「てめえ、何をした。」
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