1. 紋様はさいなむ -3-

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 着いたところは例の火事の現場だ。  扉には立入禁止の張り紙がしてあり、南京錠で硬く閉ざされている。  男はポケットから細い棒のようなものを取り出し、南京錠の鍵穴に差し込むとカチャカチャ動かした。  しばらくして南京錠が外れた。  もう一度あたりに気を配ってから、男はドアを細目に開け、中に滑り込むように入っていった。  中は墨を塗ったような暗闇だ。  男はヘッドライトのスイッチを入れ、明かりを灯すと、床を照らしていった。  一面焼け焦げていたが、例の穴には鉄の板が敷かれていた。  「ちっ」  舌打ちをしながら男は鉄の板に手をかけた。  予想以上に重い。  渾身の力を振り絞って板をずらしていくと、まだ修繕されていない床の穴が現れた。その底をヘッドライトで照らすと、写真で見た奇妙な紋様がそこにあった。  男はリュックを下し、中から例の円形の板を取り出した。  それを紋様の上に置くと、リュックから地図を取り出し、丸い板を動かしながら地図と見比べていた。  「思った通りだ。しかし、なぜこんなところに?」  男は携帯で写真を撮り、丸い板をリュックに戻すと、鉄の板を元の位置に戻し、倉庫から外にでた。
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