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1. 紋様はさいなむ -4-
南京錠を元のようにかけ、その場から立ち去ろうとした時、正面から光を浴びせられた。
「!」
男の目が一瞬くらんだ。
「だれだ!そこで何をしている。」
(しまった!)
男はとっさにリュックサックを光の方へ投げつけた。
リュックが何かにぶつかり、光の元、懐中電灯が地面に落ちた。
男は脱兎のごとく逃げ出したが、次の瞬間、背中に鋭い痛みを感じた。
全身に熱いものが駆け巡り、四肢の力が抜け、男は地面に倒れた。
意識が遠のく中、近づいてきた者が懐中電灯で男の顔を照らした。
「見知らぬ顔だな。」
そう言うと倒れている男の背中から短刀を引き抜き、血を拭うと懐にしまった。
「こんなものがありました。」
別の者が男のリュックから丸い板を取り出した。
「羅盤か…」
別の者の手にした懐中電灯で照らされた顔は、香田と呼ばれた男だった。
香田は倒れている男の体を遠慮なく探し回った。
懐から携帯電話を取り出すと、慣れた指使いで一枚の写真を再生した。
あの奇妙な紋様を映した写真だ。
「目的はこれか…」
そう言うと香田は男の携帯を真っ二つに折った。
「連れて行け!」
倒れていた男はもう一人の男に担がれ、香田とともに闇の中に消えていった。
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