2. 招かざる少女 -2-

1/5
前へ
/106ページ
次へ

2. 招かざる少女 -2-

 そうして麻里江は転校初日を迎えた。  朝日に押されるように、皆が校門を通り抜ける。  門の前には先生が立っており、門をくぐる生徒たちに挨拶をしていた。  麻里江はその先生に近づくと、まずは挨拶をした。  「おはようございます。」  見知らぬ美しい生徒に挨拶をされて、その教師は戸惑いの色をみせた。  「おはよう、君は…?」  「はい、今日から転入します、鷹堂麻里江と言います。」  麻里江が頭を下げると、後ろで結んだ髪が軽く宙を舞った。  「ああ、転校生か。話は聞いている。職員室はあっちだ。」  「ありがとうございます。失礼します。」  笑顔を残して麻里江は、示された職員室へ向かった。  教師は、しばらく麻里江の後姿に見とれていた。  それを見る生徒たちが、クスクス笑って校舎へ向かっていく。その中で厳しい表情で、麻里江の後ろ姿を見つめる男がいた。  香田である。  香田は、麻里江が校舎の中に入っていくのを見届けると、後ろにいた二人の男に目配せし、その場を去った。  麻里江に応対したのは、教頭の細川であった。  「鷹堂君だったね。ようこそ、あけぼの高校へ。」
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加