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歓迎の言葉を送る細川の目は、好奇心で溢れていた。
麻里江が美少女であることも一因していたが。
「それじゃあ、教室に案内しよう。門脇先生。」
門脇と呼ばれた男性が、教頭のほうを向いた。
ジャージを着た、いかにも熱血先生という体(てい)をした教師であった。
「君の担任になる門脇先生だ。先生、彼女が鷹堂君です。よろしくお願いしますよ。」
「お願いします。」
麻里江は笑顔を見せて頭を下げた。
「よろしく。じゃあ、ついてきなさい。」
そう言って、門脇は先に立って職員室を出た。麻里江も後に続く。
麻里江の教室は2階にあった。
ドアを開けると、生徒たちがきちんと机にむかっている。
門脇が先に入り、麻里江がその後に続いた。
「今日からいっしょに学ぶことになった、鷹堂麻里江君だ。」
「鷹堂麻里江です。よろしくお願いします。」
そう挨拶したあと、教室を見渡した麻里江の目に違和感が映った。
静かだ。
十代の若者の集まりのはずなのに、活気がない。
今の時期に転入したのだから、もっと好奇の目を向けてもおかしくないのに、それもない。
転校生に関心がないのか?
麻里江は奇異に感じた。
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