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「鷹堂君は、窓際の一番後ろに座ってくれ。」
麻里江は門脇の指示に従い、一番後ろの席に座った。
そのとき、異様な視線を感じた。
そっと後ろを見たが、人はいない。
前に座る生徒たちはすべて門脇の方を向いている。
どこからか?
窓から外を見た。
ベランダがある。
しかし、人影はない。
そのときには、異様な視線は感じなくなっていた。
(気のせいだろうか?)
麻里江は首を傾げながら一時限目の授業を受けた。
ことさら問題もなく午前中の授業は終わり、昼休みに入った。
麻里江は教室を離れると、ひとり校舎の中を歩き回った。
見た目は普通の学校であった。
生徒たちはどこにでもいる高校生であり、校舎も学校設備もきちんとしている。
あちこちで勉強に打ち込んでいる姿は、進学校にありがちな光景だ。活気がないのも、進学校として勉強中心、受験中心の学校生活が原因かと思えてきた。
「転校生に関心がないのも、自分の勉強以外に興味がないせいかな。」
そう思いながら麻里江は、自分が体育館の裏手にいるのに気付いた。
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