3人が本棚に入れています
本棚に追加
焦る老人の気持ちが店員にもうつったのか、電話に飛びつくがうまくボタンが押せない。やっとの思いで電話をかけると「火事です、火事です」というだけで要領が得ない。
指令室の受付オペレーターの落ち着いた対応で、どうにかこうにか場所や火事の状況を伝えると、数分後には消防車のサイレンが聞こえてきた。
それを聞いて二人はやっと落ち着くことができた。
火事は小規模で収まった。
消防士が実況見分であちこち調べまわる。
火元は体育館に隣接する倉庫の一つであった。中には体育の授業で使う用具やマットなどが置いてある。そこが激しく燃えていた。
「たばこか…?」
消防士の立樹が黒焦げになった空き缶を拾った。中にたばこの吸い殻がはいっている。どうやら、ここでたばこを吸い、その不始末で出火したようだ。
「立樹さん」
そんな推理をしていた立樹をもう一人の消防士が呼んだ。
「どうした?清水」
同僚の清水の呼ぶ声に立樹はその方向に顔をむけた。
「これ、なんでしょうね?」
清水が床をしげしげと眺めていた。
「なにかあったのか?」
最初のコメントを投稿しよう!