1. 紋様はさいなむ -1-

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 焦る老人の気持ちが店員にもうつったのか、電話に飛びつくがうまくボタンが押せない。やっとの思いで電話をかけると「火事です、火事です」というだけで要領が得ない。  指令室の受付オペレーターの落ち着いた対応で、どうにかこうにか場所や火事の状況を伝えると、数分後には消防車のサイレンが聞こえてきた。  それを聞いて二人はやっと落ち着くことができた。  火事は小規模で収まった。  消防士が実況見分であちこち調べまわる。  火元は体育館に隣接する倉庫の一つであった。中には体育の授業で使う用具やマットなどが置いてある。そこが激しく燃えていた。  「たばこか…?」  消防士の立樹(たちき)が黒焦げになった空き缶を拾った。中にたばこの吸い殻がはいっている。どうやら、ここでたばこを吸い、その不始末で出火したようだ。  「立樹さん」  そんな推理をしていた立樹をもう一人の消防士が呼んだ。  「どうした?清水」  同僚の清水の呼ぶ声に立樹はその方向に顔をむけた。  「これ、なんでしょうね?」  清水が床をしげしげと眺めていた。  「なにかあったのか?」
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