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1. 紋様はさいなむ -2-
火事騒ぎがあって一週間後。
その高校の校長室で奇妙な会話が交わされていた。
かなり広い部屋の中央に備え付けられた革製のソファに、初老の男がひとり座り、その後ろには学生らしき背の高い男が立っていた。そして、部屋の片側を占領するように置かれた大きな机の後ろには、これも革製の大きな椅子が、背もたれを初老の男に見せて置いてあった。
「不始末ですね。校長。」
背もたれの向こうから少し甲高い声が聞こえてきた。
「申し訳ありません。どうやら、隠れて煙草を吸っていたものがいたようで。」
「そんなことはどうでもいいのです。それより、あれを外部の人間に見られたことが問題なのです。」
「申し訳ありません。」
まるで背もたれに謝るように校長と呼ばれた男は身を縮めた。
「香田、目撃した者の特定はできているのか?」
「はい、実況見分した消防士の中で二名の者が目撃したようです。居場所もつかんでおります。」
「消しなさい!情報が拡散する前に消してしまいなさい。」
「わかりました。」
冷酷な命令に香田と呼ばれた学生風の男は冷静に答えた。その間で校長はかすかに震えている。
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