1. 紋様はさいなむ -3-

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 階段を下り、一階の廊下を出入り口に向かうと、外はすでに闇に覆われていた。  男は出入り口の片隅に停めてあった自転車を取り出すと、それにまたがり、闇の中に漕ぎ出していった。    男が闇の中を向かった先は、例の火事騒動のあった高校であった。  夜中でもあり、当然高校の門は閉まっている。周りは高いフェンスで囲まれていた。  男は自転車を駆って校庭を巡り、ある地点で自転車を停めた。  そこはフェンスと生垣が並列しているところで、見るとフェンスの一部が破れている。男はリュックからボルトカッタを取り出し、フェンスをさらに切っていった。  人が通れるほど切ると、リュックを穴から中に投げ入れ、自分も開けたフェンスの穴から慎重に中に入った。  しばらくあたりを注意し、人の気配がないことを確認すると、男はフェンスに添って体育館のほうへ走っていった。  体育館にたどりつくと、頭にヘッドライトを取り付け、ポケットから一枚の紙を取り出し、ヘッドライトを点けてその紙を照らした。  どうやら高校の校舎の見取り図のようだ。  印のついた地点を確認すると、男はヘッドライトを消し、静かにその方向へ歩き始めた。
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