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「なぁ、(なつ)()〜。俺に誰か紹介しろってー!」 「はぁ? なんであたしが、あんたなんかに紹介してあげなきゃいけないのよ?」 「だってほら、おまえと二人で飲んでたってぜんっぜん変わりばえもしなくて、ちっとも盛り上がらねぇだろ? だからなんかもっとこうさ、ときめく出会いとかをね、俺はしたいわけよ。せっかく夏なんだしさぁ〜」 「なにがときめく出会いなのよ? そういうことは、自分の顔を鏡で見てから言いなさいってば! だいたい飲みに行こうって人のこと誘っといて、他の女の子紹介しろとか、ほんとデリカシーのかけらもないし。そういう浩平(こうへい)みたいなイケてないヤツごときに、ときめく出会いなんて今どきあるわけがないでしょ!?」 「うっせーよなぁ、相変わらず。おまえごときには、ほんとときめかねぇわ」 「うっさいのは、そっちの方だから。あたしだって、あんたにはまるでときめかないしーだ!」 お互いに「フン!」と鼻を鳴らして、そっぽを向く。 仕事終わりに幼なじみの川村 浩平と待ち合わせて、こんな風に居酒屋で飲みながら軽口を叩き合うのは毎度のことだった──。
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