79人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「……あ、あたしだって……その、浩平のことが、き、気になるもの……」
真近で見つめられて、彼のひたむきな思いに引きずられるように口に出すと、
「……本当にか?」
と、聞き返された。
こくりと首を縦に頷くと、
「……俺もだ、バカ」
耳元に口が付けられ、低く声が吹き込まれた。
「……バ、バカって何よっ!」
口づけられた耳が真っ赤になりそうになって、とっさに手で隠そうとするのを、
「……隠すな、バカ」
耳のそばに唇を寄せたままで、
「……可愛いから」
囁きかけられて、顔にボッと火がついたように熱っぽくなった。
「……なぁ、あいつと、キス…したのか?」
「し、してないし……」
ふるふると左右に振る頭が、片手でふいにグッと捕らえられて、
「……だったら、俺とキスしろよ」
こちらが頷く間もなく、ぎこちなく唇が重ね合わされた。
最初のコメントを投稿しよう!