ピカチュウ

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「ピー、ビー、ピー」  もうじき2才になる娘が最近口にする言葉だ。  まだしっかり言葉がしゃべれない。  お兄ちゃんのタクトは4才になり春から幼稚園に通いだした。  幼稚園はとても楽しいらしい。  帰ってくると、さっそく幼稚園で習った歌をラナに教えている。  ラナもお兄ちゃんと楽しそうに「ウーウーウー」と宇宙語を話しながら、お兄ちゃんと遊ぶ。  子供たちはあれで通じ合っているらしい。  すごく不思議だ。  会話が成り立っていないように見えるのだが二人楽しそう。  お兄ちゃんの幼稚園のお友達が遊びに来た。 「タクちゃん、遊びましょ」  とたんにお兄ちゃんのタクトは、ラナをほったらかしにして友達と遊びだす。  ラナはひとりぼっちになり、パパのもとにやってくる。  そして「ピー、ピー、ピー」と言い出す。  何か訴えているのだと思うがよく分からない。  そしてなぜ「ピー」なのか分からない。  ラナはあまり泣かない。とても強い子だ。  お兄ちゃんがいる女の子はたくましいと思う。  パパとしては女の子は、花のように可憐に育ってほしいと思うが、なかなかそう育たない。  いつも何かあるとお兄ちゃんに殴られる。  子供だから容赦がない。  一緒に遊んでいても、叩いたり押したり引っ張ったりやられている。  タクトが幼稚園に行くようになり、妹に唾をかけるようになった。  変なことを覚えてきたものだ。  でも、だいたい泣くのはお兄ちゃんのタクトだ。 「ラナが叩いたーー」  あなたがいつも叩くからやり返されるんでしょ。
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