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 くつろぎという言葉が、ここまで当てはまる場所がここ以外にあるだろうか。少なくとも私の経験上には無い。  雨上がり、柔く陽が差し込む窓の外を見やれば、水滴を輝かせる緑が一帯に広がり小鳥が地の上で戯れているのが目に映る。なんとも穏やかな光景だ。  そんな絵画のような光景から目を戻せば、程よい暖色の灯りに照らされた古風な洋間が姿を見せる。安らぎ増幅装置のような向こうの暖炉はインテリアだが、なかなかいい味わい深さ。そしてたった一つの円盤から生まれる静かな音が、この場を優しく包み込んでいる。  無音より何かしらの音のある方がリラックスできると彼は言うが、全くその通りだ。  そして具合よく沈み込む革張りのソファは、世界のゆりかごのように私の身を支えている。ならば、向こうに見える燭台は星々と言ったところだろうか。いや、私はそんなロマンチストじゃない。  ここはまるで私のために用意された空間のようだけど、残念ながら私の部屋ではない。もし気が回せれば、こういう空間創りを実践してみたいところではある。と言ってもあまり帰れてはいないのだけど……。
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