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「あはは。そうですね、たしかに痛く順当です。  さて、ストレンジ・シチュエーションでメアリー・エインズワースは愛着安定性評価の実験方法を確立させました」 「愛着の分類、乳児を対象にした実験ですね」 「ええその通りです。  ボウルビィから始まり、以降も様々に研究がなされてきましたが、ある一点においてこの実験は特に有意義だったと僕は解釈しています」 「たしか世界の中流階級の家庭における乳児を対象にしたんでしたね。結果として三つに分類されることとなった。  一つは安定型。もう一つは回避型。最後に両価型……結果として愛着の形を明確化することになり、それは国ごとに特徴づけることができるほどの傾向を示した」 「その通り、さすが勤勉でいらっしゃる」 「あなたの知識を海とすれば、私は雨どいの下のバケツほどにもなりません。  勤勉という言葉は、少し似つかわしくないでしょうね」 「いえ、そうとも言えないですよ。大切なのは知識量ではなく本質の理解量。  見えているものが全てではない……とは、よく言ったものだ。そう思いませんか」
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