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エスプレッソのカップをカタリと置き閑話休題。目の前で丁寧にポットから砂糖を取る彼に目を向けた。
「話を戻しますが……ここに来たのは他でもなく例のシリアルキラー、アーサーエリスについて、その正体と行動をあなたなら図り知ることが出来るのではないかと思ったためです」
彼は私と目を合わせることなく、コーヒーカップに五つ目の角砂糖を入れ終わると小さなスプーンを一周。持ち手に手をかけようとしたが、そこで何かを思い出したように動きを止めた。
「ああ、申し訳ない。いま僕は何個目の砂糖を入れましたっけ?」
「五つ。しっかり」
彼はホッとした笑みを浮かべた。
「そうでしたか良かった。貴女はよく周囲を観察する人……ですからね、助かります」
「……はい?」
「もし毎回砂糖を一個多く入れてしまったなら、一年間に数百個の過剰摂取になってしまい経済的にもコストがかかる。何よりコーヒー本来の風味が大変に損なわれてしまいますし。
過ぎたるは及ばざるがごとし、ですかね」
「あぁ……何が、言いたいんです?」
「失敬。まぁ余談です」
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