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カジュアルな言葉選びをしているが、やはり彼は……三神教授は何かを知っている。それはいったい何か。突き止めるためにも、私はあることを聞かなくてはならない。知っているけど知らないなにかを……。
「前回はたしか八ヶ月ほど前でしたね。当時の猟奇殺人事件の捜査、ご助力ありがとうございました。
たしかに、あのとき私は人の抱える暗闇に潜む何かを垣間見た気がします……そんな顔も、気付かぬうちにしていたかもしれません。
それにしても小旅行とは。ここに来るまでが既にそれではありますけどね」
「あはは、たしかにごもっとも。サナトリウムの敷地内、自然に囲まれた大規模な隔離地なわけで。
しかしそれこそ、言ってくれればいつでも迎えに行きますよ。いかんせん夏は少々億劫でしょう」
「いえ、普段狭苦しい仕事場か車の中にいますから。この広い自然を感じるために徒歩を選択しているようなものです。お気遣いなく」
「ふふ。そうですか、何よりです。
さて……では、少し核心的なお話でもしていきましょうか」
そう言ってカップをすする。
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