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「それがね、先月主人が亡くなったんだけど、今から遺言書作って欲しいの」
「……え?」
「前妻との間に3人子供がいて、他所にも何人かいて認知してたみたい」
「えっと、ご主人はもう……?」
「この世にはいないの。遺言書無かったから私には半分しか遺産入らないっていうのよ」
「そりゃ当然で……」
「財産目当てで爺さんと籍入れたはいいけどそんなに相続人がいたなんてね。何とか私1人に全財産入るようにならないかしら? 実は遺言書ありました〜全部夢華にって書いてあります〜。ついでに認知も解消です〜って! お礼は何でも、お望み通りに……」
キラキラした澄み切った瞳が妖しく俺を見つめた……。
俺は丁寧に法律を説明した。夢華ちゃんほプンプン怒って「使えねーヤツ!」と言ってドアを乱暴に閉め帰って行った。
自称「小さい頃の友達」なんてろくなヤツがいないと俺はため息をついた。少し落ち着こうとコーヒーを淹れ座った瞬間、ドアが開いた。
「久しぶり〜! 同じ産婦人科で隣のベッドだった坂井だよ〜。お互い大きくなったなあ。実は会社の金使い込んじゃってさあ……」
誰だよ?
〈終〉
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