湧きいづる

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 東京の大手法律事務所で修行し、たくさんの経験を携え、俺は地元に帰って来た。小さいながらも自分の弁護士事務所を開き、これからは地元のために働こうと俺は意欲を燃やしていた。  俺の故郷は静かで平和な町だ。そう難しい依頼をしてくる者はいないだろう。町の法律相談所として気軽に活用して貰えれば、と呑気に構えていた。  が、事務所を開いてみると結構相談者が来た。それもみんな「昔の友達」と名乗る者たちだった。 「久しぶり! 立派になったなあ」 「えっと、ゴメン。誰だっけ?」 「え〜、忘れちまったのか? 小学校2年の時の友達だよ。一緒に給食当番やったじゃん!」  給食当番を一緒にやったくらいで友達なのだろうか。 「でさあ、実は俺浮気して嫁から離婚するって騒がれててさあ。何とか慰謝料払わなくて済むようにして欲しいんだよ」  かと思えば。 「友達に弁護士がいて良かったよ」 「えっと、君は誰?」 「やだなあ、忘れちゃったの? 小学校の時隣のクラスだった田中だよ。図書委員で一緒だったじゃないか。実は相談があってさ……」  隣のクラスで委員会が一緒って、友達なのか?
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