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「いったい、なにが始まるのか?」
いつの間にか目を覚ましていた警備員が呟いた。驚くというより怯えている。無理もない。周囲をシャインマスカットに囲まれているのだから。
――
6時間後。光は収まった。辺りはすっかり真っ暗だ。
「ふぅ……変形終了!」
桜色のさくらんぼが、道端にポテっと落下した。どうやら桃香の成れの果てらしい。警備員とシャインマスカットの面影は、微塵も感じない。
「ドリアン? 私を鼻の穴に入れなさい? そうすれば、自分のくっさい体臭から解放される……わ……よ?」
桃香は目を見開いた。ドリアンがいない。どうやら家へ帰ったようだ。
「ふざけんなー!」
この日一番の怒りの咆哮が町に轟いた。
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