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二
「ケツが上を向いたタイミングで屁をしろ。そうすりゃ少しずつだが降下できる」
「難しいこと言うなぁ……まぁやってみるけど」
軽い口振りとは裏腹に焦燥の表情を浮かべる桃香。確実に上昇しつつあるのだから無理もない。ヘリコプターに衝突したらスムージーになってしまう。
ブワン!
「あっ」
おっと惜しい。さらに上昇する桃香。
「タイミング間違えちゃった」
舌を出しながら左手を頭の上に持っていこうとするが、膨張した肉体に阻まれる桃香。
「やる気あんのか? もうやめてしまえ」
「あっ、あの山、腐りかけたキウイみたい!」
ドリアンの叱責も、ブルーベリー程すら届かぬ位置まで上昇してしまった桃香。
「どうすれば桃香を救える?」
ポケットから取り出した梨をかじりながら、ドリアンは呟く。
「おい桃香! 萎む方法を考えろ!」
道端で発声練習をしていた警備員からぶんどった拡声器を手に、ドリアンが叫ぶ。
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