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「分かんないってー! むしろ教えてよー!」
気球のように風に流されながら桃香は叫ぶ。
「チクショウ……どうすればいい……そうだ! 桃香は、なぜ膨らんだのか? それを考えれば答えが見つかるかも……確か、あいつが怒った時に膨らんだ……ということは!」
妙案を閃いたドリアン。
「おい、桃香。よく聞け!」
ドリアンは、拡声器の音量をMAXに上げ、カラスの群れに紛れ込んだ桃香に向かって声をかける。
「なーにー? もうガス欠だよ?」
パンパンに膨らんだお腹をさすりながら、桃香は夕陽に背を向ける。
「へっ! バーカバーカ! 桃香のバーカ!」
上空に尻を向け、小学生レベルの言葉を吐き出すドリアン。
「えっ? ドリアンのがバカじゃん? テストの点数で一度たりとも私に勝ったことある?」
桃香の冷静な発言に、胸を抱え倒れ込むドリアン。
「……アカン。だめだわ。桃香を怒らせてもっと膨らませようとしたのに」
なんのために。
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