2/4
前へ
/11ページ
次へ
「分かんないってー! むしろ教えてよー!」  気球のように風に流されながら桃香は叫ぶ。 「チクショウ……どうすればいい……そうだ! 桃香は、なぜ膨らんだのか? それを考えれば答えが見つかるかも……確か、あいつが怒った時に膨らんだ……ということは!」  妙案を閃いたドリアン。 「おい、桃香。よく聞け!」  ドリアンは、拡声器の音量をMAXに上げ、カラスの群れに紛れ込んだ桃香に向かって声をかける。 「なーにー? もうガス欠だよ?」  パンパンに膨らんだお腹をさすりながら、桃香は夕陽に背を向ける。 「へっ! バーカバーカ! 桃香のバーカ!」  上空に尻を向け、小学生レベルの言葉を吐き出すドリアン。 「えっ? ドリアンのがバカじゃん? テストの点数で一度たりとも私に勝ったことある?」  桃香の冷静な発言に、胸を抱え倒れ込むドリアン。 「……アカン。だめだわ。桃香を怒らせてもっと膨らませようとしたのに」  なんのために。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加