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「もういいや。帰ろ」  諦めが早すぎるドリアンは、拡声器を地面に放り投げ家路につき始める。  ふと、ドリアンは足を止め空を見上げる。カラスの糞を浴びた桃香がクルクルと回っている。 「俺の好きだった桃香も……地に落ちたな」  むしろ空へと上昇している幼なじみに、辛辣な言葉を浴びせるドリアン。 「はなむけの言葉をプレゼントするか……」  警備員が拾おうとした拡声器をぶんどり、桃香へ向け、ドリアンは再度、声をかけた。 「桃香ー! 俺、お前のこと好きだったー!」  幼い頃から胸に秘めていた恋心を、放出したドリアン。周りの視線なんか関係ない。 「……えーっ!? このタイミングで言うのー!? ありがとー!」  桃香にしては、至極真っ当なツッコミを入れつつ、了承する。ドリアンの気持ちはしっかり届いたようだ。  桃香の答えを聞き、口角を上げゆっくり頷くドリアン。そして、再び拡声器を持ち上げる。
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