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 20XX年9月某日。新型ウイルスの脅威がとどまるところをしらない日本列島で、今日も職場に立つ。  私は、都内の片隅に潜むビジネスホテル『くるしゅうない』の警備員、西岡洋一。35歳。  感染症が広がる前は、駐車場内の交通誘導がメイン業務であったが、現在は、ゲートを出入りする人と車両のチェック業務に就いている。  全てはホテル内での感染を防ぐため。私に課せられた任務は重大だ。  勤務時間は8時00分から20時00分。相方の渡邉と交代しながら業務を行う……という建前。  なんだ、じゃあ実質6時間勤務かよ。楽勝じゃん! なんて思った奴。ふざけんなよ。それは、相方がきちんと仕事ができる場合に限るんだよ。  相方の名前は渡邉光一。50歳。愛称はバカナベ。あいつの使えなさは、お札が一枚も入っていないATM並だ。  この業務でコンビを組んで1ヶ月。あいつは問題ばかり起こしやがった。
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