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僕はしばらく釣り針が揺れたあとで、糸を掴み、大物の〈ソレ〉をひっかけ、尻尾を持って強く引っ張った。
「ほら、かかった」西田が声を上げる。子どもたちが「ほんとだ」とはしゃぐ。
勢いよく引き上げられる糸を僕は強く引き返した。「これはかなりデカいぞ」「パパがんばれ」「絶対釣ってよ」「もちろんだ」
なんて茶番なのだろう、と思いつつも僕は〈ソレ〉を引っ張りながら左右に動かし、適当なタイミングで手を離した。「ほら、釣れた」「すごーい、大きい」「パパすごーい」
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