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すっかり冷めてしまったコーヒーをすすり、僕は椅子に座りなおした。残り時間は僅かだが、妻を喜ばせるほど釣り上げられるだろうか。僕は釣り糸を垂らした。すぐに手ごたえを感じ、引き上げようとしたが引き返された。僕は山村さんに電話をかけた。
「はい、山村です」
「すみません、今、そういう演出はいいですから」
「なにがですか?」
「引っ張って動かしてるでしょ? 時間ないんですから、そういうの止めてください」
「私、なにもしてませんよ」
「え?」
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