1人が本棚に入れています
本棚に追加
自宅マンションのベランダから釣り糸を垂らして、一時間が経った。
「釣れた?」
ベランダの窓を開けて部屋の中から妻が訊ねる。僕は振り向いて首を振った。
「やっぱりもっと上の階の方がよかったのかな?」妻が言った。
「関係ないだろ。それは」
「でも、三つ上の階の西田さんのところは昨日大量だったらしいよ」
「そうなんだ。それは羨ましいことだ」
「あなたも頑張ってね。クーラーボックス二つも用意しているんだから」
「血が出るまで腕を磨いてみるよ」
「期待してる。コーヒー淹れようか?」
「うん。お願いするよ」
最初のコメントを投稿しよう!