夜釣りにて

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 妻の背中を見つめ、リビングを出て行ったのを確認すると、僕はまたクーラーボックスから〈ソレ〉を取り出し、釣り針にひっかけた。「ちっちゃーい」「かわいい」「子どもかな?」と声が聞こえてくる。 「次は大きいのを釣るぞー」  西田さんのわざとらしい大声が聞こえてくる。僕は思わずクーラーボックスを蹴り上げそうになったが、なんとかこらえて、一番大きな〈ソレ〉を取り出した。  釣る針が垂れてきて、振り子時計のように揺れている。 「こうして動かしていると、釣れやすいんだ」西田さんが嘘をつく。
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