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彼からのお願い
平日の三時となると仕事の目途もつくかつかないかは予想が出来る時間。
今日は、珍しく定時に上がれそうな予感にこんな日くらいは何か作ろうとメニューを留美は考える。
彼が好きな物は、和食だけどわりと子供が好きそうなメニューが好きな人だから、帰りに買い物をして帰ろうと考える。
「相田さん、今日は定時に帰れそうですよ。」
「そうであって欲しいわね。」
大きな企画の仕事が一段落したのもあるが営業が帰ってくるまで油断は出来ないこの会社だ。
営業が帰ってきて「修正明日まで出来るかな?」という悪魔な依頼さえなければこの
まま終われる。
部下は、すでに付き合っている彼女にデートの誘いの連絡を入れここ数週間、残業だったから放置された彼女が機嫌が悪いと言っていたのを思い出す。
最悪、もしもの時は、一人で出来る内容の仕事なら自分は残って部下は、帰らせようと思いながら時計を何度も確かめるそんな事をしているとコッチの心配をよそに飲みに行こうと話しながら営業が帰ってきた。
仕事で忙しくしている彼氏が逢えないと言うだけで不満を募らせる気持ちは自分には、解らない感情だけどそれは普通の事だと最近は思えるようになった。
俊介は、留美が仕事の虫だと解っているから文句は言ってきた事が無いが、本来は男女共に生活や交際をおざなりにすると喧嘩の火種として燻るらしい。
自分も最近忙しいがここ数週間は彼の俊介も忙しいようで終電の事も少なくなかったし自分もそれは同じだった。
終電で一緒になる二人ってどうなの?と言いながら笑い合い、疲れていてもそんな和やかな生活の中でストレスフリーしかし普通はそうで無い事が多い。
営業の「追加なしでーす。」の言葉は天の助けだという部下と予定通りに買い物に行けるという留美がハイタッチをして喜びを分かち合うそれほど最近は過酷な状況だった。
無事この日は定時に終わりそうでなく終わる事ができたから思い描いるメニューの材料を買いにスーパーへ。
ハンバーグプレートなる大人のお子様ランチ風なのを作る為に材料をカートの中にいれる。
玉ねぎや合挽は必須で付け合わせの野菜や今回は煮込みハンバーグにするからトマト缶にと家にある材料と買い足す材料を考えながら買い物をする。
レジで支払いを済ませてエコバックに商品を入れていると、珍しく俊介からラインではなく着信があった。
「もしもしどうかしたの?」
留美は、定時に終わるとは俊介に連絡はしてはあったがいつもなら遅くなるとか自分も定時だとかそんな内容だから着信は珍しい。
「留美?今もしかしてスーパーにいる?」
「うん。駅の近くのスーパー。」
この次に彼が言った「お願い」は留美にとっては覚悟を持って引き受けないといけない事だった。
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