壊れ狂う日常

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 一方その頃、不審者と化け物から逃走した崇人と健太は住宅街から離れ、現在繁華街近くの路地に逃げ込んでいた。二人共息を大きく切らし激しい呼吸を何度も繰り返し、ファミレスで食べたばかりなのもあって脇腹に痛みが出るがそんな事を気にしている場合ではもはやなかった。  崇人は息を整えつつ周りを見て、さっきの不審者や化け物が来ていないかを確認する。 「………今は、追ってきてはいないようだな………!」 「………な、なあ………何なんだよアイツ………!!俺達を襲って………!!それにあの怪物、まるでファンタジーに出てくるモンスターだ!!なんだよこれ、幻覚でも見てるのか?!」  ある程度落ち着きを取り戻した崇人と違い、健太は座り込んで頭を抱え不安と恐怖を発露させる。もちろんその感情を痛いほど理解できる崇人は片膝立ちになってしゃがみゆっくりと話す。 「健太、落ち着いてくれ………俺だって信じたくない、でも多分現実だ。だったらそれを受け入れて、動くしかない。健太は交番に言って警察を呼んできてくれ、  俺は向こうに戻って奴らを引きつける」 「?!な、何いってんだよ崇人?!も、戻るって………どうして?!」  崇人の突然の発言に健太は目をむいて彼の両肩を掴む。ひとまず危険から逃げられたにもかかわらず、再びあんな異形の存在の近くに行こうなど健太には正気には思えなかったからだ。  だが崇人とて譲ることはできなかった。  「………あいつはどういう手段を使ったかわからないが、俺の家を突き止めた。つまり、俺の家族のことも………桜夜(さよ)の事も知って、なにか危害を加えるかもしれない。  俺は、それを見過ごすことはできない」 「そ、それは…………そうだけどよ………」 「………安心しろよ、俺だって死にたくないから無茶はしないさ。それじゃ通報は頼んだぞ、相棒!!」  健太にそう言い終えると崇人は路地裏から出て走り出し、住宅地がある方へと再び戻ってしまう。健太は彼を引き戻そうと手をのばすが届くことはなかった。いや、正確には違う。脚をもう一歩踏み出せばおそらくは届いたであろうが、その一歩を恐怖によって踏み出すことができなかったのである。  崇人は桜夜のこととなると途端に自分を顧みなくなる、だからこそ本来自分が止めるべきであった。止めるべき、だったのだ。 「何が………何が相棒だよ、クソッタレ…………!!」  健太はうつむき自分を攻めるように、涙を流し自分に向かって言葉を吐き捨てる。  この状況で涙と後悔(そんなもの)何の意味もないとわかっていながらも。  
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