Cheek Dyed Beginners1

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* 「キスってもうしたの?」  そんなド直球な質問が繰り出されたのは、大浴場から帰ってきた後のことだった。  昨日から修学旅行で旅館に宿泊していたのだけれど、今日は一日中京都府内で歩き回っていたから、みんなクタクタだ。  テニス部に所属している(あかり)は、唯一元気が有り余ってこんな突拍子もない話題を切り出した様子。短く切り揃えられた髪を雑にタオルで拭いつつ、あっけらかんとした表情だった。 「うぐっ、」  ミネラルウォーターを飲んでいた羊が、灯の奇襲に咳き込む。危うく口に含んでいたものが出そうだったので、私はすかさず「羊、汚い」と注意を促した。 「ま、……まだしてない、よ」 「狼谷のことだからすぐ手出すのかと思ってたわ」 「あ、あかりちゃん……」  無事に恋仲となった羊と狼谷くん。文化祭から一か月ほど経っているから、二人の交際期間もそれに準じているはずだ。  修学旅行といえば恋バナ、なんてよく聞くけれど、まさか灯が切り出すとは思わなかった。  荷物の整理をしながら、私もこっそり耳を傾ける。 「あの、二人に聞きたいんだけど……普通のカップルって、いつ頃キス……するものなのかな」
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