Cheek Dyed Beginners1

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 私の言葉に、津山くんの返事はなかった。何だか真面目な空気になってしまったので、柄にもなくおちゃらけてみることにする。 「意外とヘタレだよね、津山くん」 「な――」  途端、かあ、と彼の頬が赤く染まった。その反応が意外で、こっちの方が驚いてしまう。彼のことだから、また「何ソレ、酷い」とへらへら躱すかと思っていたのに。  照れている、というよりも、純粋に恥ずかしがっている、といった方が適切だった。「ヘタレ」は流石に傷つけてしまっただろうか。 「なんちゃって。うそうそ。津山くんは優しいよ」  そう、ヘタレってつまり、言いようによっては優しいってことだから。内心ではそう付け足して、彼のご機嫌取りに努める。  津山くんは「フォローする気ある? それ」と眉尻を下げた。少しずつ本来の調子を取り戻しているらしい。 「ね、結局どうなの? 付き合ってからどれくらいでするの?」  本題から随分と逸れてしまった。  改めて聞き直せば、彼は気まずそうに頭を掻いて口を開く。 「……や、まあ、ほんとに好きなら期間とか関係なくね?」  遊び人から放たれた遊び人らしからぬ誠実な発言に、瞬き数回。彼自身もむず痒そうにしているから、これ以上の追及はやめておこうと思った。 「そっか」
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