Cheek Dyed Beginners1

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*  目の前にはゾンビ。そして隣には私の腕を掴んで離さない津山くん。  カオスってこういうことか、と場違いな感想が浮かぶ。いやそんなことよりも。 「津山くん、大丈夫だから。そんなに見てると逆に狙われるよ」  修学旅行も三日目。朝から大阪のテーマパークを回っていたけれど、あっという間に夕方になってしまった。  ちょうどハロウィンのイベントで、この時間帯になるとパーク内をゾンビがうろつく仕様になっている。津山くんはどうやらホラー耐性がないようだ。 「下向いてた方がいいよ。あっち行こう」  もともとみんなで絶叫系かつホラー系のアトラクションに乗るところだったのだけれど、津山くんが辞退。彼だけが乗らないとなると、他のみんなが無理やりにでも連れて行くかもしれないから、私もそれとなく離脱した。  みんなを待つ間、時間を潰そうと意見が一致したのはいいとして、外には津山くんの苦手なゾンビが発生している。  確か子供向けのエリアは安全地帯だったよな、と思い出して、私は彼の手を引いた。 「津山くん」  言われた通り、忠実に俯き続けている彼が何だか可笑しい。余程怖いのか、私の手を離さまいと強く握ったまま。いま彼と私はゼロ距離だ。 「おーい、津山くん。もう顔上げて大丈夫だよ」 「あ……」 「うわ、顔色悪いね。何か飲む?」
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