Cheek Dyed Beginners1

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 うわ、と思わず呟いてしまった。  しっかり彼にも聞こえてしまったのか、「うわって何、傷つくわー」と大袈裟に眉尻を下げられる。 「いいよ、すぐそこだから。彼女にも悪いし」 「え~、彼女って? いないの知ってるでしょ」 「さっき電話してたの、彼女でしょ?」 「いやさっきのはマミちゃん」 「それは知らない」  誰だ、マミちゃんって。心底どうでもいい情報を得てしまい、うんざりする。  津山くんはもう通常時の笑みに戻っていて、「いーから送らせてよ」と押し切った。  駅へは本当にすぐ着いて、ほんの僅かな非日常だった。  津山くんが車道側を歩いてくれたり、歩幅を合わせてくれたり、そういったことをされる度に何だかむず痒い気持ちになったし、いちいち気が付く自分にも嫌気がさす。 「じゃ、また明日!」 「……うん。ありがとう」  一応お礼を述べれば、津山くんは「どーいたしまして」と肩を揺らし、手を振りながら背を向けた。  バスに乗り込んだ後、彼からメッセージが届く。 『報告! 二人、無事に付き合うことになったって!』
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