Cheek Dyed Beginners1

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 きっと狼谷くんから連絡が来たのだろう。分かりきってはいたけれど、こうして文面で見ると安心した。  長い一日だったな、と静かに瞼を閉じ、窓に頭を預ける。  すると、再びスマートフォンが振動して、新着メッセージの存在を知らせた。 『ところで、西本さんってキノコ派? タケノコ派?』  一体何の話だろう。連投してまで続けるような話題でもなさそうだけれど。 『送る相手間違えてるよ』 『いや俺、ちゃんと西本さんって打ったよね!? めんどくさいからってスルーしないでよ』  そんな言葉が続いて、写真が送信された。コンビニでも寄ったのか、チョコ菓子のパッケージが二つ映されている。  キノコかタケノコか、という質問は、そういうことだったらしい。 『タケノコかな』 『俺もタケノコ! ってことで買って帰りまーす。西本さんも帰り気を付けて!』  結局、私に聞いた意味は皆無に等しい気がする。中身なんてない、すっからかんなやり取りだった。  だけれど、この他愛もないやり取りは今に始まったことではない。彼と連絡先を交換して以来、親友の恋路を応援するべく情報交換をしていた。津山くんはその終わりに、いつも下らない話を投げていく。 『今日は色々とありがとう』  知らずに絆されていたんだろうか。  自分の指先はそんなメッセージを送信し、今度こそ私は目を閉じてバスに揺られた。
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