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「それ、ヤクがまわってたんだよ」
見知らぬ日本人男性が笑った。
「まぁ飲め」
「ありがとう」
目の前に出されたグラスウォーターを一気に飲み干そうとして吐き出しそうになる。
「なに、これ、水じゃないじゃんっ」
ケホッケホッとマリは咳き込む。
「それは俺のウォッカ」
男は豪快に笑って
"彼女に水を"
と流暢な英語で頼んだ。
「で?あんな物騒な場所から出てきた理由は?」
と男はカウンターに頬杖をつく。
マリは水を飲んで落ち着いてから、よくよく彼の顔を見ていたら誰かを思い出した。
「あれ!?」
「ん?」
「あ、あなた、もしかして・・・・」
マリが名前を思い出そうとしていると、カウンターの中に居たスキンヘッドのオジサンが
"彼は有名なムービースターだよ"
とマリにウインクした。
「も、もしかして、葉山迅!?」
マリは彼を指差したまま動かなくなった。
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