デジGホテルで捕まえて

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" NO!!" それは素人でもはっきり分かるくらいの正しい英語の発音だった。 "そこを何とか。彼女、何も持たずに部屋から出てきてしまったんだ。パスポートも部屋の中にある。部屋を調べるだけ調べてくれないか?" "ここは世界でも一流と言われているホテルですよ?誰でもが滞在できるビジネスホテルではないんです。そんな品格も何もないような姿でウロウロしてるお客様なんて1人もいやしない。見なさい、あのドアを。あそこから出てくる方たちの服装を。格式のある人は、その場所にも格式と敬意を払うものです。彼女が我がホテルに滞在してるなんてあり得ない。私が警察を呼ぶ前に帰りなさい" ホテルを警備しているイカツイ男性が葉山ににじり寄る。 葉山はお手上げた、と言わんばかりにマリに首を振った。 「マリちゃん、ごめん。覚悟はしてたけど思った以上に壁は高かった」 葉山は参ったな、という表情で言った。 「とんでもありません。無理なお願いしてすみませんでした」 マリは恐縮した。 「さて、と・・・・」 と葉山はさりげなくマリの腰に手を回して言った。 「行こうか」
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