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「えっ!?あのっ、葉山さん!?」
マリは焦っていたが、葉山は気にとめる様子もなく歩き始めた。
デジGホテルからほど近い距離にレンガ色のアパートメントが並んでいた。
「ちょっと待っててね」
葉山はマリにそう言って誰かに電話をした。
すると、アパートメントのドアが開いて1人の女性が笑顔で現れた。
"ジン。お帰りなさい"
"ただいま。クラ。会いたかったよ"
"私もよ、ジン"
マリの目の前で2人は抱き合った。
「あ、あの、私・・・・」
マリはこの場を去ったほうが良さそうな気がして、声をかけた。
「ああ。ごめんね、マリ。彼女はクラ。僕の恋人なんだ」
葉山は自分が芸能人だという事を忘れているかのように彼女を紹介した。
"初めましてマリ。クラです"
にこやかに手を出す彼女は笑顔がとてもチャーミングな女の子だった。
「は、初めまして。マリです」
マリは慌ててクラと握手をした。
"話はジンから聞いたわ。大変だったわね、マリ。私の部屋を自分の部屋だと思って自由に使ってね"
マリは目の前に天使が舞い降りたような神聖な気持ちになり泣きそうだった。
私はまだ神に見離されてはいない・・・。
部屋のドアを開けた葉山がマリを見て言った。
「マリちゃん、鼻水出てるよ」
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