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"マリ。召し上がって"
クラは白い大皿いっぱいに乗った長細い揚げ物をマリの目の前に置いた。
香ばしい甘い匂い。
この匂い知ってる!!
「春巻き・・・でもバナナの匂い?」
クラはパチンと手を叩き
"当たり!!中身はバナナなの。トゥロンっていうのよ。美味しいから食べてみて"
太陽みたいな笑顔でクラは言った。
1口、食べてみる。
「美味しいっ。サクサクしてるのに中はバナナの柔らかい食感!初めて食べる味だけど懐かしい感じ!」
マリが立て続けにパクパク食べるので、クラは慌てて
"あら、追加したほうが良さそうね"
と脱いだばかりのエプロンを腰に巻いた。
「ビールは?飲めそう?クラは料理が上手いんだ。フィリピンで屋台をやっていて観光客から人気があったんだ」
葉山がマリのグラスにビールを注いだ。
「すごい!クラさん!屋台で料理を提供していたの!?あ、お2人の馴れ初めはフィリピン!?」
楽しげに春巻きの皮を巻いているクラの後ろ姿を見つめながら、葉山は言った。
「ああ。アクション映画の撮影がフィリピンであってね。その時に屋台で働いていたクラに出逢ったんだ」
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