デジGホテルで捕まえて

3/56
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
彼は何も変わってなかった。 マリの耳に髪をかける優しい指先も。 吐息まじりに耳たぶを甘噛みする仕草も。 柔らかい唇が、首筋から胸へとキスしてくる。 そのタイミングで彼の左手が太ももに・・・・。 5年も付き合っていると、そういう時の順序さえ予測できてしまうんだ。 次はこうして、次はこうなって、次は・・・・。 悲しい事に全部当たってしまう。 そうだった。 身体の相性だけは良かったんだ、私たち。 だから、5年ももったのかもしれない。 「どうした?」 彼が聞いた。 涙が、止まらない。 「最後だから、抱くの?」 マリの言葉に彼はあからさまに動揺した。 「嫌なら、いいよ別に」 マリは彼から離れた。 「これで終わりなら、同情も綺麗な思い出も私いらないから」 彼は立ち上がり、クローゼットにある自分の服を鞄に詰め始めた。 本当にこれでジ・エンドである。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!