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のぼせた身体を冷まそうと部屋の外に出た。
それがすべての間違いだった。
「あ、れ・・・・?」
マリはホテル内のエレベーターに乗った。ほんの少しだけ徘徊したら部屋に帰ろうと思っていたから、パジャマにひっつめ髪、ヘアターバンという格好で部屋を出てきてしまった。
酔いがまわっていたのもあって、しまった、迷ったかも、と気づいた時にはもうホテルの裏側なのか薄暗い場所に立ち尽くしていた。
そこには人の気配はなく、目立つものと言えば鉄格子のドアがついた古いエレベーターが一台あるだけだった。
「これ、ちゃんと動くの?」
正直乗るのは怖いが、ここがどこか分からない以上、他に選択肢がない。
「重い・・・・」
両手で鉄のドアを横にスライドさせる。
赤いボタンを押すとスーッとエレベーターが開いた。
「う・・・わ」
中は真っ暗で乗れる気がしない。
しかもワインのアルコールがまわってきて頭がクラクラしている。
マリは、もうどうにでもなれ!と、そのエレベーターに乗った。
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